第二の我が家を目指して!病気と闘う家族を応援!『ファミリーハウスがじゅまるの家』
沖縄県立南部医療センター・こども医療センターからすぐ近くにファミリーハウスがじゅまるの家があります。
ファミリーハウスとは何なのでしょうか?ハウスマネージャー統括主任の真栄城 正美さんにお話を伺ってきました!
ファミリーハウスがじゅまるの家について教えてください。
ファミリーハウスとは、離島や遠方から治療・入院する、病気や障がいのある子とそのご家族が心身ともに安らぐことができる我が家同様の滞在施設です。(病院近くの第二の我が家)毎年約4,500人の方が利用しています。
●がじゅまるの家の歴史(造られた経緯)
以前の沖縄では、難しい病気の子どもたちは治療のために本土の病院へ行くしかなく、家庭の負担は精神・体力・経済的にとても大きいものでした。
1996年、「沖縄のこどもの命は沖縄で守ろう」と高度な医療を受けられる「こども病院設立運動」と並行して、総合病院近くに「ファミリーハウスの建設を」と県へ必要性を強く要請し「こども医療センター」と「ファミリーハウスがじゅまるの家」が誕生しました。
●利用できる方(基本条件:離島や遠方から県立こども医療センターなどに入院・通院する病気や障がいのある子とその家族)
①病児もしくは障がい児とそのご家族。
②出産に対しリスクが懸念される妊婦さん及びそのご家族。
③遠隔地からの成人患者及びそのご家族(※要相談、電話連絡が必要です)
※成人利用の場合、ご予約することはできません。当日宿泊できない場合は、別途ご協力いただいている一般の宿泊施設をご案内させていただきます。
心がけていること・気をつけていることはなんですか?
病気のときこそ利用者様が「普通の生活」を送れるように心がけています。
●利用者様が安全・安心に過ごしていただけるような環境づくり
病院では感じにくい季節感を大切にしています。
がじゅまるの家では日中は女性マネージャー、夜間は男性マネージャーが対応しております。スタッフが24時間常駐しているということも利用者様の安心につながっていると思います。
●利用者様に対して気配り心配りを意識しています
不安を目の当たりにしている家族に寄り添うスタッフとして、できるだけ「忙しさを表に出さない」様にしています。
これは経験談なのですが、病院では医療スタッフが忙しそうで、声を掛けづらかった経験がありました。がじゅまるの家では安心して声掛けしやすい環境づくりを心がけています。
ご家庭で過ごされているようなリラックスできる環境・ホッとする癒やしの空間を作っていきたいです。
●病児のご家族も含めたトータルなケア
病児のケアは医療スタッフの方々が行っておりますが、そのきょうだいや家庭にまでは手が届きにくい状況です。
病気と闘う子どもたちにとってきょうだいに会えることは、大切なエネルギー源になります。
しかし、病院では12歳以下のお子様は感染症対策のため面会できません。さらにコロナの影響もあり、通常の面会はますます厳しい状況です。
付き添いをしているお母さんは病児のきょうだいたちと離れざるを得なく、心配で悩まれている状況も多々ありました。
がじゅまるの家では家族の集える場所を提供し、病児やご両親のケアはもちろん、きょうだいに向けたケアを含め、トータル的なケアを行っていきたいです。
●緊急でも対応可能です。
例えば、ドクターヘリによって離島から来られた患者様のご家族や、観光中に入院してしまった県外の患者様のご家族など、緊急時でも宿泊対応できるように必ず一部屋は準備できる状況を作っています。
どんな方が利用されていますか?
入院・通院されている病児のご家族が多いです。
●通院の方の場合
通院する必要に応じて月に1回~3ヶ月に1回など周期でのご利用があります。
受診できる時間にもよるのですが、前日入りして午前中に受診したり、離島の方だと飛行機の状況によっては受診後に宿泊されたりします。
●入院の方の場合
お子様が手術後など集中治療室の間は付き添いができないので、親御さんががじゅまるの家に宿泊したり、長期入院のお子様が外泊許可を得て、がじゅまるの家でリフレッシュしたりします。最長で5ヶ月間ご利用していただいたこともありました。
なお、小児においては親御さんの24時間の付き添いが必要になります。
お子様が小さい頃は添い寝できますが、少し大きくなると添い寝も厳しく、また点滴用のチューブが妨げになったりします。そうなると親御さんの付き添いは厳しい状況になります。
短い期間ならまだ耐えられるかも知れませんが、長期入院となると「ちゃんと眠れない状況」がずっと続いてしまいます。小さなベッドを持ち込んでいる方もいらっしゃいます。
がじゅまるの家では短時間利用が可能ですので、3時間ほどお休みいただくこともできます。入院生活の付き添いが長かった方からは「和室だと手足を伸ばしてゆっくり休める」と大変好評です。
また、患者様が集中治療室に入っている場合、付き添いの方には待機室が準備されますが、病棟利用でなければお風呂を利用することができません。がじゅまるの家にご連絡いただければ有料(一回250円)ですがご利用可能です。
※コロナの影響により休憩・シャワー利用などに一時的に変更があります。電話でのお問い合わせをお願いします。
思い出に残っている利用者様・ボランティアの方は?
たくさんあるのですが、その中で2つ。
●利用者様
10数年前、石垣島に住んでいる6歳くらいの女の子が、がじゅまるの家へやってきました。
重度の心疾患を持っていて、何度も手術を行い、その度に長期入院し、何度も何度も入退院があって、手術もすごく頑張って、それを乗り越えてきました。
経過観察でこども医療センターを受診する際にはがじゅまるの家を利用していただき、その子の成長を幼少の頃からずっと見守ってきました。
石垣島に帰れる許可が降りたとき、その子から感謝のお手紙とプレゼントをもらいました。
時が過ぎて先日、その子が今度は妊婦としてがじゅまるの家に来てくれました。
元々先天性の心疾患があり、出産の際リスクを伴うので南部医療センターで入院・出産することになったのです。
子どもの頃に来てくれたその子は無事に出産し、今度はお母さんになって石垣島に帰っていったときは言葉にできない喜びが溢れました。
●ボランティア
団体では沖縄電力グループさん、かりゆし長寿大学校の卒業生の方々。
毎週木曜日には手作りボランティア「フルール」さん。
過去には沖縄工業高校の先生や生徒さんたちが本棚や掲示板・木の玩具(パーランクーなど)を作ってくれました。
その中でも、特に印象深いのが神奈川県の盲導犬訓練センターから毎年来てくれる盲導犬のボランティアです。
最初はワンちゃんの大きさに圧倒されていた子どもたちでしたが、だんだん距離が近づいてきて、手(前足)を握ったり、枕になってもらったり、絵本を読み聞かせてあげていました(笑)
闘病のせいか、無意識に表情が固くなっていた子どもたちの顔が徐々に柔らかくなっていくのがわかります。
病児だけでなく、そのきょうだい、親御さん、一家を丸ごと癒やしてくれる、盲導犬のワンちゃんはすごくありがたいです。
どんな設備や周辺環境がありますか?
●設備について
個室が10部屋(洋4室・和6室)あり、共用でキッチンやダイニング、談話室、ランドリー、プレイルームやPCコーナー、DVD視聴コーナーを備えており、全館バリアフリーになっております。なお、敷地内は禁煙・禁酒です。
キッチンには調味料や調理器具一式が備えられており、母乳専用の冷凍庫もあります。
お食事は各自でご用意していただきますが、食材以外は無料で使用できるようになっております。
その他の設備の有無はお電話で確認可能です。お時間に問題がなければ施設や設備のご案内をさせていただきます。
●がじゅまるの家では宿泊費以外はほぼ無料です。
例えばランドリーについてですが、病院にも洗濯機・乾燥機はありますが有料となっており、27床に対して1台だけですので、どうしても順番待ちになってしまいます。
それが、がじゅまるの家で宿泊の際は無料で使用できるので喜ばれますし、洗濯洗剤もご寄付いただいたものがあれば使用しても大丈夫です。
※ご寄付いただいた洗剤が品切れの場合は申し訳ありませんが別途購入をお願いします。
※アイロン・アイロン台なども受付にて貸し出しております。
また、無料Wi-Fiやコピー機(有料)もございますので、テレワークにも対応できると思います。
●周辺環境について
遠隔地からアクセスしやすい場所にあります。
那覇IC近くなので本島でお車が利用できる方は高速道路から。
県外からの方はモノレールで首里駅まで乗っていただき、そこからタクシーで1~2メーターで着くことができます。
また、那覇バスさんの新川営業所もあるので公共交通機関を利用した移動も可能です。
周囲にコンビニはありますが、スーパーは離れています。週に一回、CO-OPさんによる移動販売が行われています。他にも、ヤクルトさん、パン屋さん、豆腐屋さんの移動販売が立ち寄ってくれます。
子どもたちを遊ばせる場所については、徒歩圏内に新川公園があります。また、病院の敷地内にちょっとした公園がありますし、がじゅまるの家にも少しですが遊具があります。
●注意点「がじゅまるの家はホテルではありません。」
・門限があります。
門限を過ぎてしまう場合や門限を過ぎてからの外出(病院からの呼び出しなど)の場合、病院で宿泊していただき、明朝の帰宅をお願いすることもあります。
・各お部屋に「お掃除セット」を準備しております。
チェックアウト前には次の利用者様が気持ちよく利用できるよう、お掃除のご協力をお願いしております。
支援・寄付について
がじゅまるの家は(公財)沖縄県保健医療福祉事業団からの受託によりNPO法人こども医療支援わらびの会にて運営されております。
わらびの会は元々難病や障がいを持つお子様のご両親たちが集まって作られた会で、潤沢な資金があるわけではありません。
実はこの施設は寄付されたものなのです。百添会(沖縄電力グループ)の10周年記念事業として建設された建物を県に寄贈し、県から運営を委任される形で、晴れてファミリーハウスがじゅまるの家として開所することができました。
一般企業や団体、近隣住民の方々から本土に帰られたご利用者様など、多くの様々な皆様に支えられ、運営されています。
●こんな寄付・ご支援をお待ちしております。
がじゅまるの家のホームページにて、寄付いただけると嬉しい物(ウィッシュリスト)を掲載しております。2ヶ月ごとに更新されますので最新はそちらをご覧ください。
・生活用品(トイレットペーパー、シャンプー、リンスなど)
第二の我が家をテーマとして持っておりますので、やはり普通のご家庭で必要な物、ティッシュや洗剤などをご支援いただけると助かります。
・食材(お米やお野菜、日持ちする缶詰、レトルト食品、カップ麺など)
病院に付き添われている親御さんは、普段はパンやおにぎりなどで済ますことが多く、しっかりしたお食事を取っていただくためにもご協力をお願いします。
過去にご利用いただいた本土の方からはその土地ならではのお野菜やお米を、地元の方からは家庭菜園で採れたお野菜やお中元・お歳暮のお裾分けをいただいたり、フードバンクなどの団体からもご支援いただいております。
・家電(前もってご連絡をお願い致します)
使っていない家電などの寄付をお願いしております。
季節もの(空気清浄機や加湿器)の家電はとてもありがたいです。
・ボランティア
がじゅまるの家では少ない人数で施設をやりくりしております。
お部屋の掃除や庭の掃除などを手伝ってくれる方を随時募集しております。
・イオン 幸せの黄色いレシートキャンペーン
イオンさんが毎月11日に行っている「幸せの黄色いレシートキャンペーン」にも登録しております。「わらびの会」の活動に賛同いただける方は、ぜひBOXへの投函をよろしくお願い致します。
将来の目標はありますか?
がじゅまるの家の理念を念頭に置き「ハウスだからこそできることは(役割は)なにか?」を常に意識し、利用者の皆様に寄り添ったホスピタリティなハウス運営を継続していきたいと思っています。
また、施設のことを知らず、苦労されている親御さんもいらっしゃると思います。
ぜひこの記事によって、まだがじゅまるの家を知らない方にも認知していただきたいです。
【名称】ファミリーハウス がじゅまるの家
【住所】〒901-1105 沖縄県島尻郡南風原町字新川272番地16
【お問合せ】098-888-0812
【Mail】[email protected]
【部屋数】10室(洋4・和6)
【駐車場】8台
【開設時間】24時間
【公式サイトURL】http://gajyumarunoie.com/