昨今、『貧困』という言葉がメディアに多く登場するようになり、心を痛めている方も多いのでは…。伸び盛りの子ども達の食事面や居場所の問題などは、心身の成長に大きく影響しますよね!


今回は、日々子ども達と向き合っている館長の伊志嶺幸美さんにお話を伺いました。



それに、伊志嶺館長と親交の深い東江 沙亜理さん(ルーキーウーマン第1回:こども食堂『ほのぼのヒロバ』で登場)もいらっしゃいましたので、写真で再び登場して頂きました。


【1】にじの森文庫のコンセプトは?


にじの森文庫は私とあともう一人、共同の代表がいます。


メインは子ども図書館として、『子どもの居場所づくり』の一環で運営しております。社会福祉法人那覇市社会福祉協議会が事業として行っている『子どもと地域をつなぐサポートセンター 糸(いと)』に属し、補助金を受けながら活動をしています。



2年前(2016年9月)に設立しましたが、当時は『子ども食堂=貧困家庭の子が行く』というイメージが社会的に根強く、そうなると、親が自分の子をそこには行かせない等の抵抗がありましたので、それを取り除きたかった。子どもの食事は無料で提供していますがそれはあくまで併設という形をとり、『貧困家庭・保護世帯・母子家庭・裕福な家庭等一切関係なしに、どの子も広く受け入れる』というのをコンセプトにしています。



例え両親がそろっていて経済的に裕福な家庭であっても、子どもにとってそこに居場所があるとは限りません。『居場所』というのは心の部分のことなので。どの子も広く受け入れているので、特に資格や登録制を設けていませんし、学区もありません。



にじの森文庫には本があってフリーwi-fiも使えて、ここにいるだけで安心だし安全だ、というのがメリットです。大人が側にいる整った環境で、食事も出る。ここでは、基本的には何をしても良いのです。



本を読む子、ゲームをする子、宿題をする子、疲れて眠っている子、いろいろいます。もちろん子どもが行き過ぎたことをした時には、叱ることもあります。私の理想像は、少し前の古き良き時代の『近所のおばちゃん』です(笑)。



【2】この施設を始めようと思ったきっかけは?


実は、私の中学生の息子が不登校なんです、小5の時から。彼は引き込もりではないので、日中は趣味の釣りに出かけたりもしていました。その時私は息子を通して、『不登校』という選択もありだなと思いました。が、世間はそうは思わず、警察も周りの親も学校へ行かなければいけないという感覚でしたね。だから息子は、何もしていなくても外を出歩いていたという理由で、補導されたこともあるんです。



個人的な考えですが、『子育て』は子どもが自立できるようになったら終わりだ、と私は思っています。自立ができれば、仮に学校のことがすっぽり抜けていたとしても、それはそれで良いのではと思っています。


もちろん、そのことによって後々困ることが出てくるのは私も承知しているので、息子に「困るよ!」と話しましたが本人は「困ってから考える!」と言うので、「それなら、そうなさい。」と言いました。ただそこへ行くまでに、精神的にも肉体的にも『体力』をつけさせることが私の役目だと思っています。



と同時に、世の中には不登校の子が沢山いることを知り、また明らかに食事の量が足りていない子も知りました。

それなら「うちへ来なさい! 二人も三人も一緒なんだから!」ということで『にじの森文庫』がスタートしました。


【3】今後の夢は?


1つめは、私達にはまだまだ至らない部分があるので、子ども達から発してきた各々のSOSをキャッチできたとしても、対応がとても難しい場合があります。けれど小さなことでもキャッチしたら、絶対に手を離さずに最後まで向き合っていきたい。子ども達は自分が困っていたら何でも言ってほしいし、手伝えることは何でもしたい!普段は言えないようなことでも、ここでなら言える。そういう場所にしていきたいんです!



2つめは、現在私達はにじの森文庫の中でしか活動していませんが、将来はこの枠を越えて次のステップへいきたいとも思っています。例えば発達障害やハンディキャップを持った子の親御さんが、子の自立のためにどうすれば良いかの相談など、私達も随時勉強していって「ここへ尋ねれば何とかなるよね!」と言われるレベルまでいきたいですね。



とにかく私達は、子ども達にとって常に一番近い所にいたいんです!それで子ども達をトータルでフォローしていける存在になりたいですね!ここに来ている子ども達は皆ファミリーですから。


【4】ルーキーウーマンを見ている方に一言!


お母さん、子育てその他で困っていることがあったらお電話ください!

すぐに解決には結びつかなくても、困っているお母さんのお話を聞くことは出来ると思いますし、愚痴をこぼすのもありですよ!


私達のことは、「誰かが30分だけ子どもを見ていてくれたら、銀行に行けるのに。」という形で利用してくださっても全然大丈夫です。



施設名…にじの森文庫

住所…那覇市松川275-4 スイートハウス1F

電話…070-4402-9201(直通:070-5411-3348)

館長…伊志嶺 幸美 さん

https://facebook.com/nijinomori.bunko/

オープン…毎週水曜15:00~18:00 毎週土曜10:00~18:00