お子様連れ専用のレンタルルーム「babycafe KOBANCHI(こばんち)」。お部屋をグループで使用できる、1日1組限定のサービスです。


ママ友同士の交流やタンカーユーエー(満1歳のお祝い)をはじめ、さまざまなシチュエーションで利用でき、子どもを持つママにとって嬉しいサービス。また、子どもがどこにいても目が届くよう設計された空間で、親子ともに安心して楽しめます。


今回は3人のお子様を持つオーナーの小林さんに、「babycafe KOBANCHI(こばんち)」の利用方法から開業に至るまでのさまざまなエピソードを聴いてきました。おすすめの子育て法も教えてもらったので、子どもを持つママは必見です!


【1】主にどんな方が、どんなシチュエーションで利用されますか?


ママたちのグループか、ご家族で利用される方が多いです。


同級生のママ友で集まったり、子育て支援センターなどで出会ったママ友同士で集まったり。あと、最近驚いたのはインスタグラムで繋がったママ同士が、こばんちで「初めまして」をやっていたことです。


初対面なのにもともとインスタグラムで繋がっているから皆さん仲が良くて。「本当に初めて会うんですか?」って聞いたら「初めてなんです。場所貸してくれてありがとう!」って。ネットで繋がって集まれる時代になったんだなと、衝撃を受けたと同時に良い時代になったなと思いました。



シチュエーションでいえば、通常のママ会のほかクリスマス・ハロウィンなどの季節のイベント、誕生日や送別会、卒園祝いなどで利用されることが多いですね。


そのほか、タンカーユーエーや還暦祝いで利用される方もいます。


お祝い事は家かホテル、レストランの個室で行う方が多いと思うんです。ただ、ホテルは個室はあるけど割高で、レストランは人数分の席しかないため、子どもがあきて遊び回り、ほかのお客さんに迷惑をかけてしまわないか心配になると思います。


こばんちだと、子どもを自由に遊ばせられることで、スムーズにお祝いの準備をしたり、大人同士ゆっくりお話ししたりできるんです。


おじいちゃんやおばあちゃんにも「久々にゆっくり食事できた!よくこんなお店を考えたね」と言ってもらえて。子どもを見ながら、安心して食事ができるのは、大人たちにとっての楽しみになっているのかもしれません。



【2】皆さんどのように食事を楽しんでいますか?


フリードリンクですが、食べ物は置いていないため、ママの手作りを持ち込むかデリバリーを注文して食事を楽しんでいます。


こちらで貸し出ししているたこ焼き機や流しそうめん機、電気鍋などの調理家電(レンタル別料金)を使って楽しむこともできますよ。そのほか、お皿やコップなどの食器類は常設(無料)にて用意していて、自由に使ってもらって構いません。



デリバリーは簡単ではありますが、どうしても割高になってしまうため、それぞれ役割分担して食べ物を持ち寄るのをご提案しています。オードブルやお寿司、惣菜やお菓子などを持ち寄るとリーズナブルに楽しめると思いますよ。


料理上手なママが多く、持ち寄ったときはパーティーのような雰囲気になるんです。あとは、お鍋に入れたカレーと炊飯器を持ち込んで食事を楽しむグループもいます。


ママたちの知恵は凄くて、お取り寄せの鍋を注文して楽しんでいたりするんです。良いなぁと思いながら、日々ママたちからアイデアをもらっています。


【3】素敵な空間ですね。こだわっているところはどこですか?



いろんな施設を渡り歩いたときに、子どもって階段と滑り台があれば永遠に遊んでいるなと気づきました。そこで、こばんちをつくるときに、階段と滑り台のオリジナルの遊具を作りたいなと思って。


あとは、モチーフになるものが欲しいと思い、私が書いた「木」の絵を家具デザイナーさんがデザインして、家具設計士さんが設計図で作ってくれたオブジェを設置しました。


プロの集団と一緒にクッションの固さを考えたり、曲線を作ったり試行錯誤して作りましたね。

 


 いすとテーブルもあり、ソファの前に高いテーブルをもってくると、足腰の弱いおじいちゃん、おばあちゃもゆっくり食事できます。


 


授乳室やおむつ替え室も用意していて、生まれて間もない赤ちゃんも一緒に遊べます 



キッチンにある冷蔵庫にはソフトドリンクの補充があります。表に出している分のドリンクが無くなったらお客様にて補充してもらう形です。


ガスコンロで調理するのは控えてもらっていますが、お祝いごとで食べる中身汁などのお鍋を温める程度ならご使用いただけます。 


【4】こばんちを作ろうと思ったきっかけを教えてください!


私が第一子を出産した頃、「公園デビュー」という言葉がありました。すでに出来上がっている仲の良いママグループが公園にいて、後から来たママは入りにくいみたいな地域があったようです。


私はいじわるされたり仲間に入れてもらえなかったりすることは無かったのですが、すでに仲良くなっているママグループは、共通の話題で盛り上がっているのでその輪に新参者は入りにくくて、「あ、これが公園デビューかな」と感じましたね。


今はどうかわかりませんが、そのような経験があって公園でのママ友作りの難しさを知りました。


あと、ねんねの赤ちゃんを抱っこして公園に連れて行っても、ベンチかブランコに座るしかできないんですよ。だから、砂場や滑り台で遊んでいる2~3歳の子どもを持つ親子の輪に入れないといった経験もしました。


子どもが少し大きくなって砂場で遊べるようになったらその親子たちとコミュニケーションとれたかもしれないのですが。


そこで、ねんねの赤ちゃんを連れたママの居場所を作りたいと思ったのがきっかけでこばんちを作りました。


ハイハイの子を自由に遊ばせながら、ママはゆっくりお茶できる場所があったら嬉しいなと思って、自分が欲しかったものを形にした感じです。



【5】名前にカフェとついていますが、はじめはカフェだったんですか?


そうなんです。10:00~16:00でフリードリンクのカフェでした。


ただ、親子のグループで来ている方たちや親子1組で来ている方など、色んなママが共存すると、親子1組で来ている方がどうしても疎外感がある気がして。上手く共存できなかったのと、グループで利用する方が多いと気づいて、完全1組限定の貸し切りに営業スタイルを変えていきました。

 


【6】子育てで大変だったことはありますか?


私は生まれも育ちも沖縄ですが、公務員に採用されてから2年間東京で研修があったんです。そのとき知り合った旦那さんと結婚を機に横浜へ移住。結婚生活がスタートしました。


横浜には親戚も友達もいない、当時はスマホもないため、気軽に情報を検索することもできなくて。今でこそ児童館や支援センターは地域ごとにできていますが、当時はそういった情報にも辿りつけなくて困りました。


子育てが始まってからは朝から晩までずっとグズつく赤ちゃんと二人きりで、何したかわからないけど1日が終わってしまう、みたいな孤独な育児生活でした。


相談したり、話したりできる友人・知人もいなかったので、自分もいつか虐待問題を起こしてしまうのではないかと毎日不安と闘っていました。


虐待のニュースを見ては明日は我が身だと思いながら育児していた時期もありました。


育児する前は、子どもを虐待してニュースになるような親に対して、こんなオニのような人間いるんだ!みたいに思っていましたが、実際に子どもを産んでからはじめて子育ての大変さがわかって、他人事じゃなくなりました。


今は役所に妊娠の届け出を出して、母子手帳をもらうときに子育て支援環境の情報をもらえるようになったと聞きますが、当時は出生届を出してからしか育児情報がもらえなかったんです。


子育てがはじまってからは、子どもをずっと抱っこしていたので、情報に目を通す余裕がなく困りましたね。

 

【7】そこまで追い込まれたときにどう立ち直ったのですか?


虐待しそうなほどギリギリだったのが、「育児って楽しい!」と思えるようになったのはママ友のおかげです。週に1回、10:00~12:00の2時間、近くの公民館のような場所で行われていた子育て支援に参加しました。


保育士さんが相談に乗ってくれたり、子どもをおもちゃで遊ばせたりする時間と空間があって。そこで顔見知りのママができて、一緒に子ども向けのイベントへ足を運んだり、公園へ行ったりして、育児の楽しさを知りました。


さまざまな意見がありますが、私はママ友はいないよりはいた方が良いと思います。それは、同じ年代の子どもを持つママ友が1番生きた情報を持っているから。


ネットの情報やどんな素晴らしい先生の本よりも、同じ世代の子どもを育てているママの方が「あの病院の先生良いよ!」とか「あのグッズ使っているんだけど良かったよ」とか必要な情報を教えてくれるんです。それに気づいたとき、ママ友ってすごい!と思って。


私がママたちをナビゲートして、ママ友を作る場所になれば良いなと思ったのも、こばんちを作ったきっかけでもありますね。


 


【8】開業しようと決めたときにどんなことをしましたか?また、大変ではなかったですか?


第一子の育休中に開業したいと思うようになって、当時は横浜に住んでいたのですが、いろんな子連れの施設を回りました。児童館や支援センター、親子カフェやキッズカフェなど、1時間半や2時間かけて東京や千葉まで行ったこともあります。


そこでは親子の観察をしながら、どんな場所が良いのか考えました。良いところも悪いところも全部ノートにまとめて、いいとこ取りしようと思って。


親子カフェやキッズカフェを回ったときに、ある共通点を見つけたんです。子どもの遊具に特化したところは料理があまりおいしくないし高くて、逆に元シェフが作る料理に特化した子連れOKなお店では遊具が汚れていたり、キッズスペースが死角になっていたりして。


どうしてもどちらかに偏ってしまうなと気づいたときに、じゃあ料理は無しにして、親子で楽しめる空間に特化させようと決めました。もともと私自身料理をするのは得意でなかったのもあって。


あと、横浜のみなとみらいのスタバがブックカフェで、キッズエリアが用意されているところだったんです。キッズスペースには小さいテーブルといすがあって、ママがそこでコーヒーを飲めるようになっていて。よくそこに行っていました。


そのとき、ママってスタバの400~500円するコーヒー1杯で2~3時間は滞在していることに気づきました。ママを対象にしたお店をするのであればコーヒー単価の経営だとおそらく採算が合わなくなるだろうなと思いました。



数年前に親子カフェが流行り出したとき、沖縄にも何店舗かオープンしていました。でも、行ってみると閉店しているところがほとんどなんです。閉まったことがわからず近所の方に場所を聞いたら「そこ閉店したよ」って教えてもらって残念な気持ちになりました。


ずっと沖縄で子育てしているママ友から話を聞くと、採算がとれず経営が上手くいかないお店や、お客さんとのトラブルに追い込まれて閉店したお店があると聞きました。


オープンさせることは簡単だけど、継続させるのは本当に大変なんだなとほかのお店を見て感じましたね。

 継続させるために、とりあえず経費をかけたくないなと思い、「従業員を雇わず、私1人でやること」「食事を出さずに、在庫を抱えないこと」を決めました。そこでセルフサービスのフリードリンクにたどり着いたんです。


その結果、私の感覚とママたちのニーズが合致していて、ママたちは「好きに自由にできる!」と喜んでくれています。


【9】今後の目標を教えてください


 実は今、新しいことをやりたいと思っています。


それは「沖縄」+「子ども」の情報発信です。情報はネットに溢れているけど、自分に必要な情報を見つけるのは労力がいるなって。保育園や学童、病院などの口コミ的なリアルな情報は意外に深くて見つけにくかったりします。


私が顔と名前を出して、自分の育児経験や体感・体験したこと、ママたちがあったら嬉しいだろうなと思う情報を発信できたらなと。ゆくゆくは会員になったママたちのポストに届くDMサービスをしたいと思っています。ママたちの育児が楽になって、親子で楽しい時間が増えるお手伝いをしていきたいと思います。


私の今生の最終目標は「子どもに特化した複合商業施設」をここ沖縄に作ること。施設の中に飲食店やプレイルーム、パソコンルーム、図書館などを設置して、ここに行けば誰かに会えて、いろいろ経験できて、学べるような、子ども達にとって「家庭」「学校」に次ぐ「第三の居場所」を作りたいと思っています。


私自身子育てが大変だったから、娘が大きくなってママになる頃には、楽しく育児できて、もっと楽しい親子の時間が過ごせるような社会していきたいんです。そのきっかけづくりをしていければと思います。


【10】子育てママに一言お願いします


私は11歳の男の子、6歳の女の子、5歳の男の子がいます。上の子が小学校6年生になってから、子どもとの時間って限りがあるなとひしひしと感じるようになって。


子どもが小さいときって、この時間が無限に続くように感じるけど、思っている以上に子どもとの時間は限られている。最近になってようやく分かるようになってきました。


だから、将来のことを考えて「勉強しなさい」「ちゃんとしなさい」と言うのではなく、子どもの成長段階を見守って、今しかない子どもとの時間を楽しんでほしいと思います。


子どもとの時間が限られているとわかってから私が意識しているのは、自分がさせたいことやしたいことではなく、子どもたちがしたいこと、行きたいところに耳を傾けること。


最近、「何かしたいことある?」「今度の休み行きたいところある?」って言ったら長男が「釣りがしたい!」って言うから急いで釣りについて調べて(笑)


でも釣り道具を当日に準備するのは難しく、潮干狩りに変更。潮の満ち引きの時間帯などを調べたり、百円均一のお店で必要なものを購入してママと子ども3人の素人集団で挑みました(笑)


あと6歳の長女が卒園式で「大きくなったらパン屋さんになりたい!」って言っていて。もっと経験させたいなと思い、パン作りの講師資格を持っている友人に、娘がパン屋さんになりたいって言っているから家でパン教室開いてくれない?って頼みました。


そんな感じで子どもたちの「やりたいこと」「興味のあること」を1つずつ引き出していくことが大切だと思っています。今の子育てのテーマは「一緒に楽しむ」です。



【11】小林さんおすすめの子育て法


私がやってみて良かったことで、皆さんにもやってほしいなと思っている子育て法があります。それは、子どもたちと夜寝る前に楽しかったことや嬉しかったことを、報告し合うことです。「今日の楽しかったこと・嬉しかったこと報告!イェーイ!」といって一人ひとり発表するんですよ。


週末にお出かけした日はその日の夜に、平日はその日じゃなくても「最近の楽しかったこと」を報告し合っています。続けていくうちに、子どもたちは大人が想像しなかったところで喜んでいることに気づくんです。


例えば、皆でこどもの国に遊びに行って、一日中遊んだのに、子どもたちが嬉しかったことで印象に残っているのは「帰りに車でアイスを食べたこと」だったり。今日一日いろいろしたんだけどなぁって(笑)でもそこが一番記憶に残っていて。


子どもたちのポジティブな感情を聞き出すと、何を求めているのか見えてきますね。


あとは、子どもたちも感情を言語化するのが上手になりました。


始めた頃、1番下の子は喃語(なんご)だったので、上の子2人が発表して、下の子は聴いているだけでした。でも、成長して言葉が話せるようになったときに、楽しかったこと・嬉しかったことが上手に言えるようになっていたんです。


皆本当に記憶をたどり、感情を言葉にするのが上手になってきました。


最初、長男は発表するのを恥ずかしがっていましたが、続けていくうちにスムーズに話せるようになっていて、成長したなぁって思います。子どもたちから得るものは多く、子どもたちも言語化するのが上手になってきたのでやって良かったなって。皆におすすめしています。

  

babycafe KOBANCHI (子連れ専用レンタルスペース)

【住所】沖縄県那覇市古波蔵2-15-12

【貸切利用】6:00~22:00(完全予約制) 月~日曜日(祝祭日可能)

【HP】https://kobanchi.com/


【LINEID】@kobanchi

【facebook】https://www.facebook.com/kobanchi/

【instagram】@ko.ba.n.chi