沖縄市の「オーガニック市場てんぶす」【店長　国吉美奈さん】

「人間は食べ物でできていることを意識して過ごすようになりました」

そう話すのは沖縄市にある「オーガニック市場てんぶす」店長の国吉さん。

食に対する不信が強まりつつある今、安心・安全な食品を探し求める方が増えています。子どもにも素材本来のおいしさを味わってほしいと願う方は多いのではないでしょうか。

今回ご紹介するオーガニック市場てんぶすは、その名の通り農薬や化学肥料を使わないオーガニック・有機の食品を数多く取り揃えています。店長の国吉さんにお仕事のやりがいや、こだわりの商品などについて伺いました。

●オーガニック・有機とは・・・

化学合成された農薬や堆肥を使わずに生産する加工方法のことです。堆肥などによる土づくりをした農地において、種まきや根付けする前の２年間、化学肥料・農薬の使用はNG。健康的な土で栽培された農産物を主な原料としているのに加え、化学合成された食品添加物や薬剤を使用しないで作られた加工食品を「有機加工食品」「オーガニック商品」といいます。

●「有機JASマーク」とは・・・

上記の土づくりに加えて、登録認定機関による品質管理・作り方の確認、年１回以上の監査で品質管理・生産方法を守っているかのチェックが行われます。認められて有機認定を取得すると、商品に「有機JASマーク」を付けることが可能。「有機JASマーク」がないと「有機」「オーガニック」などの名称の表示ができません。

オーガニック市場てんぶすではどのような商品を販売していますか？

私たちは「世界を、もっと自然体に」を企業理念に、オーガニックや自然素材、無添加のアイテムを「おいしい・やさしい・うれしい」の3基準でセレクトしています。

「おいしい」・・・ただ美味しいだけでなく、「無理に過度な味付けになってないか」「子どもやお年寄り、身体が弱っている人でも安心して食べられる味わいか」など、さまざまな角度から「てんぶすのおいしさ」に添うものを選んでいます。

「やさしい」・・・味わいや原材料など「より自然な」「より身体にやさしい」素材で作られたものをセレクトしています。

「うれしい」・・・自然食品やオーガニック商品はかなり高価なものも多いですが、「頑張るお母さんを応援したい」という気持ちから、お財布にやさしい価格帯に設定。生活に取り込みやすいようにしています。

オーガニックの食品を取り扱うことになったきっかけはありますか？

「安心・安全」が当たり前だった時代から、さまざまな場所で「食に対する不信の声」が聞こえるように。「このままだと沖縄の未来や、子ども達の将来が暗いものになってしまう」と心配になり、少しでも明るい未来になればと、オーガニックの食品を扱うようになりました。

オープン当初は「オーガニック」という言葉があまり浸透していませんでしたが、無農薬で野菜を作っている方たちや、昔から大切にされてきた製法で作り続けている店舗様から仕入れていました。

国吉さんのお仕事内容を教えてください

レジ打ちや接客、商品出し、商品注文などさまざまです。商品の売れ行きに合わせていつどのくらい注文するか確認していて、特に多く仕入れているのは醤油・だしなどの調味料。生みそに関しては１週間に１回は必ず仕入れないと間に合わないほどよく売れます。

というのも、てんぶすで取り扱っている商品は健康志向の会社から仕入れており、他のお店で販売されていない場合が多いので。そのため、持続して購入される方が多い調味料は仕入れの頻度が高くなります。

お仕事のやりがい教えてください

てんぶすは高校生くらいの方から年配の方まで、幅広い方に利用していただいています。数十年前は今と違う場所に店舗があり、そのときからずっと来てくださる方もいるんです。また、子ども連れのお母さんやお父さん、お孫さんと一緒に来られるお年寄りの方、ビーガン（完全菜食主義者）のお客さんも最近増えてきているように感じます。

そのような方たちから「○○が入っていない商品で良いものありますか？」「こんな悩みがあるんだけどどうしたいいですか？」などの相談を受けることがあります。

私のアドバイスでお客さんが安心した表情に変わり、喜んでくださったときには嬉しくなりますね。

私はもともと知識が無かったのですが、気になることがあれば自分で調べたり、お客さんとの会話で学んだり…。勉強し始めて２年半ほどで食べ物に対する意識が変わりました。

どのように意識が変わったのでしょうか？

まず「人間は食べ物でできている」ことを意識して過ごすようになりました。

病気も含めて全て食べ物でできているから、食べ物で治すこともできると気づいて。わかっていたつもりでしたが、深く納得できたのはここにきて学んでからです。例えば、生理痛や生理前の吹き出物は砂糖がたくさん入った甘いものを食べるから。身体に優しいものを取り入れるとそれも治まる場合があります。

１つ印象的なエピソードがあって、てんぶすで働く前の職場にいたとき風邪をひいて３週間仕事をお休みしてしまいました。３回病院へ行きましたがそれでも治らなくて。てんぶすで働き始めて独学で学ぶようになり「風邪をひいたら何も食べず水だけを飲む」のが良いと知りました。その後、風邪をひいたときに漢方と水だけで過ごしてみると２日で熱が下がり、４日目には出勤できるほど元気になりました。

それから食べ物としっかり向き合い、なるべく体に添加物を入れない食生活に変えてからはまだ１度も風邪をひいていません。食事改善をするなら無理に変えようとせず、ゆっくりとバランスをとって調整するのが大切だと思います。

オーガニックについて詳しくない方でも相談しながら購入できるんですね！

相談してくれる方はたくさんいますよ。

この間も０歳の子どもを持つお母さんが来て「子どもの便秘について相談したときに、アドバイスしてくれたことを実践したら良くなりました！」ととても感謝してくれたんです。びっくりしたと同時に本当に嬉しい気持ちになりました。「病院で便秘の薬をいっぱいもらってきたけど飲ませるのが怖かったです。でも国吉さんのおかげで飲ませずに済みました」って。

その方は子どもにおっぱいをあげているようだったので「まずはお母さんの食べ物を変えてみたら」とお話ししました。お母さんが食べたものが子どもにいくため、調味料をオーガニックのものにする、動物性の食事を少し減らす、乳製品や糖を取るといいかもしれませんというように。それからはお昼にお弁当を買いにきてくれたり、子どもの体調で何かあれば相談してくれたりするようになりました。

日々お客さんの不安を軽減してあげたい気持ちで答えていますが、体質によって効果の違いはあると思います。ですので、気になる方には食事で体調を整えたり、病気になりにくい体質にしたりする「食養性」を取り入れている「いれいはりきゅう院」さんをお勧めするときもありますね。てんぶすにはいれいはりきゅう院さんが推奨する食養性商品も置いていますよ。

まずは何から取り入れたほうが良いですか？またイチオシの商品はありますか？

生塩・生みそ・生醤油・だしの基本的な調味料から揃えてみるのがおすすめです。お味噌は発酵食品ですが、味を一定にたもつために発酵を止める添加物が入っている場合があります。てんぶすでは、容器に入れた状態でも発酵が進んでいる無添加の生みそも置いていますよ。

イチオシの商品はデトックスコーラやデトックスジュース、デトックス弁当です。

デトックスコーラには高いデトックス効果で注目されている食用活性炭と、アンチエイジングを促すハーブエキスがたっぷり入っています。一度飲んだ方は体の不純物が排出されやすくなったのを体感し、リピートする場合が多いです。私もよく炭でデトックスしています。

デトックス弁当はお肉やお野菜、調味料などすべててんぶすの商品で作っています。味付けは生塩・生みそ・生醤油・だしなど基本的なものを使用。素材の味を大切にしていて、デトックス効果が期待できるお塩だけで味付けしたお野菜も入っています。そのほか、小麦を使用せずスパイスだけで作ったカレーや、動物性食品を一切使用しないビーガン弁当もあるんです。

お客さんにアンケートを取ったときにいただいた感想で「健康的で安心・安全なお弁当はとても貴重」という声がたくさんありました。「今日のご飯はちょっと手を抜きたいな」って思ったとき、食に気を付けている方たちは外で気軽にお弁当を購入できないと思うのですが、てんぶすのお弁当なら気軽に食べていただけると思います。

あとは小麦や動物性食材不使用の米粉パンも人気です。アレルギー対応で安心して食べられることから売り切れになる日も多々！去年までは卵とバターが入っていましたが、改良を重ねてよりシンプルな食材で作ることができました。普通のパンに比べて硬さはありますが、トースターで焼くと外はカリッ、中はふわっと米粉パンならではの食感が味わえます。