毎月楽しみな給料日。もらった瞬間はうれしいですが

給与明細を見てみると、税金や社会保険など色々なものが引かれてちょっと悲しい…。


「そもそもこの社会保険ってなんのために引かれているの?」

「きちんと支払っているけど、どんなときに役立つのかわからない」

そんな方も多いのではないでしょうか。


一般的に社会保険というと健康保険と厚生年金保険について指すことが多いですが

それ以外にも介護保険、雇用・労災保険などがあります。

今回はこの社会保険の種類の中でも厚生年金保険について

どのようなときに役立つのかに注目してそれぞれの活用法を説明していきたいと思います。


国民年金保険と厚生年金保険の違い

国民年金保険は20歳以上60歳未満の方すべてが加入するものです。

対して厚生年金保険は民間企業で勤務する労働者や公務員が加入する公的年金で

一般的に自営業や扶養者、現在働いていない方が加入する国民年金(老齢基礎年金)と合わせて2階建てで加入します。

社会保険で厚生年金を払っている方は同時に国民年金にも加入していることになります。

また厚生年金については給与から差し引かれるのは半額分です。実は労働者が支払っている同額を企業側も負担しています。


また国民年金は20歳以上60歳未満の方全てが加入するのに対し、

厚生年金には年齢に関わらず、上記対象者のうち一定の収入を超えた場合は必ず加入するため

たとえ未成年であっても厚生年金保険に加入して保険料を納める義務が発生します。


厚生年金保険で受け取れる年金の種類

ここでは厚生年金保険が活用できる制度について説明していきたいと思います。

厚生年金保険を受給する際は国民年金保険も同時に受給することが多いので同時に説明していきます。


老齢厚生年金

老齢厚生年金とはよくテレビなどでも近年2000万円不足問題などで取り沙汰される年金にあたるもので老後に年金が支給されます。

厚生年金に加入してる方は通常の国民年金よりも2階建て(老齢厚生年金)の分、年金支給額は多くなります。

支給条件は65歳以上で老齢基礎年金(国民年金)の受給資格がある方(保険料の納付済期間+免除期間=10年以上)であることが条件となります。

老齢基礎年金(国民年金)の受給資格をクリアしている場合は例え厚生年金に加入していた期間が1ヶ月でも支給対象となります。

支給金額は加入期間・平均標準月額によって変化します。平均標準月額は毎年4~6月毎月の給与と不定期で支給される賞与などを年間で合計し12で割った額です。

働いていた時期に給与が多かった方はより年金額が増えるという構図になっています。


老齢厚生年金の繰り上げ受給、繰り下げ受給

老齢厚生年金は基本65歳以上からの受給開始となりますが、希望すれば60歳から繰り上げ受給(受け取る年齢を短くする)をすることができます。

繰り上げ受給を行った場合、65歳時に受け取る年金額と比較して1ヶ月毎に0.5%減額した年金を受給することになります。

仮に60歳で繰り上げ受給を行った場合、65歳に受け取る年金額と比較して30%少なくなります。

またその逆に最大75歳まで繰り下げ受給(受け取る年齢を伸ばす)を行うこともできます。※現在は70歳まで。令和4年4月以降から75歳まで繰り下げ受給可能に。

繰り下げ受給を行った場合、65歳時に受け取る年金額と比較して1ヶ月毎に0.7%増額した年金を受給することになります。

仮に75歳で繰り下げ受給を行った場合、65歳に受け取る年金額と比較して84%多くなります。

繰り上げ受給、繰り下げ受給を行う際には老齢基礎年金(国民年金)もセットで行う必要があります。


遺族厚生年金

遺族厚生年金は年金加入者が死亡した際に残された遺族が年金を受け取れる制度のことで

老齢厚生年金の年金額の3/4が受給金額です。

また同時に遺族基礎年金も支給されますが、遺族基礎年金では子のいる配偶者または子自身が支給対象となります。

受給額は扶養対象となる配偶者と18歳未満の子供の人数で変化します。

遺族基礎年金の基礎が年間780,900円で子供の人数が第1子・第2子までは各224,700円加算され

第3子以降は各74,900円が加算されます。

例えば子供が3人いる場合の遺族基礎年額は年間1,305,200円です。


遺族厚生年金の受給資格

①厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき

②厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき

③1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき

④老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき

⑤老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき

※①②の受給資格者は死亡した者について、死亡日前日において保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが条件となります。

 令和8年3月末日までのときは、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。

※④⑤の受給資格者は受給資格期間(保険料免除期間を含む)が25年以上あることが条件となります


遺族厚生年金の受給対象者

遺族厚生年金の受給対象者は生計を維持されていた遺族のうち、以下条件に合う方の中から

一番上位に位置する方が対象となります。

①妻(30歳未満の子のない妻の場合は5年間のみ受給可能)

②子(18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方。)

③夫(死亡当時に55歳以上である方に限ります。なお、受給開始は60歳からですが、遺族基礎年金をあわせて受給できる場合に限り、60歳より前から遺族厚生年金を受給できます。)

④父母(死亡当時に55歳以上である方に限ります。なお、受給開始は60歳からとなります。)

⑤孫(18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方。)

⑥祖父母(死亡当時に55歳以上である方に限に限ります。なお、受給開始は60歳からとなります。)

ここで注目すべきは③の部分です。共働き子なし世帯の場合、妻が先に亡くなった場合では夫が受給対象者となるのは妻の死亡当時55歳以上でなくてはなりません。


障害厚生年金

障害厚生年金は、病気や怪我などで障がいを負ってしまった場合に支給される年金です。

障害厚生年金の受給資格

①障害と診断された初診日に厚生年金に加入していること。

②障害の程度が3級以上に該当すること

③以下のいずれか1つに該当していること

イ)初診日の前々月まで、加入期間の3分の2以上で保険料を納付していること(または免除されていること)

ロ)初診日に65歳未満であり、前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

受給額は障害の程度や収入、配偶者の有無によって変動します。

配偶者がいた場合で加給年金支給対象の場合(加給年金については下記説明を御覧ください。)224,700円が加給されます。

また同時に障害基礎年金も支給されますが、障害基礎年金では障害等級ごとの支給額+子供1人~2人では各224,700円、3人目以降では各74,900円が加給されます。


加給年金

年金受給者の厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あるなど一定の条件をクリアしていると加給年金を受け取れます。

加給年金とは被保険者が65歳になり上記の老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取ることになったとき

生計を維持されていた配偶者や18歳未満の子(または障害等級1級・2級に該当する20歳未満の子)がいた場合受け取れる年金のことです。

例えば妻と10歳の年の差がある場合、配偶者は10年間加給年金を受け取れます。

支給額は配偶者が年間224,700円~(1943年4月2日以降生まれなら年390,500円)、第1子・第2子までは各224,700円加算され第3子以降は各74,900円が加算されます。

ただし配偶者が受給を受けるには収入が年850万円未満あるいは所得が年655.5万円未満である必要があります。


以上が給与から引かれる厚生年金保険の活用法になります。

一般的に知られている老後の年金の他にも「死んでしまった」「障害が残ってしまった」など様々なケースで救済措置があるのは助かりますね。

それなりの金額が引かれるので損した気分になってしまいがちですが、その分色々な活用法が存在しています。

ただし、注意点として基本的に給付関連は自分自身で申請などを行わないと支給されないものなので

申請を忘れてしまっていたり存在自体を知らなかった場合、最悪支給を受けられず損をしてしまいます。

数がかなりあるので全てを覚えるのは難しいですが、お仕事をする上で困ったときは何か対象となる制度が無いか

調べる癖をつけておきましょう。



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